9/18 原順子さんの聞き書きを行います

聞き書き隊及び訪問の家職員の方へのお知らせです

 

下記のとおり、聞き書きの会を開催します。

日時  : 9/18(金) 2:00~4:00

場所  : 桂台ケアプラザ 2F ボランティアコーナー

語り手 : 原  順子さん

聞き手 : 名里  晴美さん

※ 聞き書き隊の皆様はICレコーダーをご持参ください。

※ 法人職員で参加希望の方は桂台CP石塚までお声かけください。

 

 

夏休みの宿題

 今年の夏の初めでしたが、ケアプラザに一人の中学生が訪ねてきました。聞けば学校の宿題として、戦中、戦後の体験者からお話しを直接聞き、まとめたいとのことでした。ケアプラザを訪ねてきたのは、「聞き書き」の活動を知った親から勧められたのかもしれません。とても礼儀正しくしっかりしたお子さんだったので、これもご縁とその時たまたま来館されていた栄区社会福祉協議会の日浦会長に引き合わせ、その場でお話をしていただくことになりました。

 

   日浦先生は広島生まれですが、幼いころにご家族と共に台湾(台北)に渡り、戦後日本に引き揚げてきたという人生を歩んでおられます。思い出すように語り出された日浦先生の口調は優しく、お父さんが出かけようとしたところ、いつもは泣かない子供たち(日浦先生とごきょうだい)がやけに泣きだしたので、仕方なくお父様が外出を取りやめたところ、外出先であった仕事場に爆弾が落ち、外出を取りやめたおかげで助かったというお話や、引き揚げ船を下る階段の途中で、気持ち悪くなりもどしてしまったところ、その吐しゃ物を受けてしまったご婦人が、怒るどころか何事もなかったかのように、逆に自分を気づかってくれたお話、戦後半年ほどで日本に戻り広島に着いたお父さまが、一面焼け野原でなにも無くなってしまったため広島港から見えるはずのない景色に驚き「宮島が見えるなあ」と嘆息された話など、次々と心に沁みるエピソードを話して下さいました。その子もメモ取る事もせずにしっかりと話に耳を傾け、数日のうちに纏めてきました。私自身も教えられる事が多くありましたが、ひとりの個人を通した歴史が次の世代に伝わっていく様に立ち会った気がして深く感じるものがありました。そして、その出来上がった作文を読んで日浦先生は孫に読ませるわ、と微笑んでいらっしゃいました。

 

 最近ある女性の地域活動者が「地域福祉は、みんなが平穏な日常の暮らしを続けていけることのために活動があるのよ」とおっしゃっているのを聴き、感銘を受けましたが、誰かに語っておかなければ、いつの間にか消えてしまう個人の歴史を誰かに語り伝えていくことには、平穏な暮らしをみんなで守っていくことにつながる大きな意義がある事を改めて感じた次第です。